1.言葉の意味
鳥瞰図(ちょうかんず)という言葉を聞いたことはありますか?鳥瞰図とは読んで字のごとく、上空を飛ぶ鳥が地上を見下ろしたような地図の表現手法です。
具体的には下図のようなものをいい、地形的な特徴や遠近感をわかりやすく表現することができます。従来の地図記号や等高線による地図表現が苦手な方でもその土地の様子をイメージすることができます。

ジオアート旭川

洞爺湖有珠山ジオパーク 鳥瞰図
※当社では、ジオアートとして製作・販売も行っております。鳥瞰図の類義語として、俯瞰図やパノラママップといった言葉もあります。
いずれも風景を斜め方向や横方向からの視点で立体的に描く手法です。
余談ですが、似たような言葉で鯨瞰図(げいかんず)というものがあります。
こちらは同じく海底の地形を表現する地図の手法で、名前のとおり鯨が海底を見下ろすような視点で描かれます。
2.鳥瞰図の作り方
鳥瞰図は古くから用いられている手法で、以前は職人さんが素晴らしい技術力と観察力、想像力を駆使して1枚1枚手描きで書くことが主流でした。今でも日本国内には鳥瞰図を得意とされている職人さんが数名ほどいらっしゃいます。もちろん海外にもいらっしゃいます。
現在は正確なデジタル地図データや、国土地理院などが公開している航空写真等が手に入るようになってきましたので、機械的に地形の凹凸や地表面の風景(街並みや植生など)を表現することができます。
そのため、物体の位置関係や大きさなどの空間的な正確さを持った鳥瞰図を作ることができます。
しかし、デジタルデータを用いた機械処理(作成方法)は正確性を担保してくれる一方、手描きのような「見せたいものを取捨選択したり誇張したり」することは得意ではありません。また、データに存在しない情報も反映されません。
そうした短所を補完するため、当社ではプログラムで生成した鳥瞰図データをベースに、デザイナーが手作業で情報を書き加えたり削除したりといった調整を行います。
その際は実物を写真で確認したり、実際に山の上や高台に登って景色を観察したりすることもあります。
時には、地形や遠近感を歪ませることで、景色そのものを写し取るのではなく人々が景色から受ける主観的な印象に近づけることもあります。
こうした機械的な処理と、人の手による処理の両方を駆使することによって、これまで必要であった膨大な制作時間を大幅に短縮しつつ、両方の長所を兼ね備えたクオリティの高い鳥瞰図を生み出すことができるのです。

ビスタマップ旭川


パノラマジオアート東川
3.具体的な利用シーン
利用されるシーンとして最も多いのは観光マップとしての利用です。特に起伏の多い山岳地帯を抱えるエリアで多く用いられます。
地域の観光スポットや見どころを鳥瞰図上に配置することで、平面の地図よりも位置関係をわかりやすく魅力的に表現することが可能で、観光客の周遊促進に繋がります。
また、きれいな鳥瞰図は眺めているだけでも楽しい気持ちになり、描かれる地域のイメージをポジティブなものにします。
ほかにも、登山マップやトレイルマップ、サイクリングマップなどといった起伏をリアルに表現すべき場面でご利用いただく事例も多くあります。
こうしたマップには、それぞれの設定されたルートの起伏がわかる断面図(高低図)を一緒に作成して並べることで、よりわかりやすく情報を伝えることができます。
また、昨今は防災マップでの利用も増加しています。例えば、水害ハザードマップでは
- 海沿い川沿いの低い土地がどこにあるか
- 浸水想定区域図によるとどこまでが浸水する想定か
- 避難するべき高台はどちらの方向にあるのか など
といった情報を直感的に把握できることが求められますが、鳥瞰図表現はそれらの要求を一度に満たすことが可能です。地域のことを良く知らない観光客への情報提供としても有効で、観光情報と共に防災情報も記載した看板を設置するなどの活用が考えられます。

北斗市高台マップ
当社では上記に加え、ジオパークでの利用が多くなっております。
ジオパークとは、地形・地質的な特徴や見どころを、「教育」「地域振興」「保全」に活用していこうという横断的な取り組みで、世界遺産などと並んでユネスコの正式なプログラムとなっております。
その中で鳥瞰図は、地域の地形・地質的な資源を魅力的に伝えるツールとして学術的価値の普及や観光振興に寄与したり、防災教育や郷土学習に役立てて頂いたりしております。

隠岐ジオパーク 鳥瞰図
※この他にも、様々なジオパークの鳥瞰図を制作しております。4.当社でお手伝いできること
当社では独自に整備している全国の景観表現データや地形データを駆使し、早くから機械と職人の技を融合させた美しい鳥瞰図の制作を行っております。そのため、日本全国ご希望のエリアで鳥瞰図画像データを作成して提供することが可能です。
海外でも対応できる場合がありますのでお問い合わせください。
また、ひとくちに鳥瞰図といってもその媒体は様々です。印刷物だけでなく、 看板やパネル、映像などでもご利用いただけます。
特に映像は観光PRなどの広報・プロモーション分野での利用が増えております。
更には鳥瞰図表現を活用した3D地図システムの開発もしております。
当社ではこうした種々の媒体に展開した成果品の作成まで一括で行うことも可能です。
お客様へのご提案やプロポーザルコンペに利用したいというご要望がありましたら、サンプルの提供も行っております。
その他ご不明な点や、ご興味がございましたら、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。