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風況解析業務向け標高データGISMAP Terrainの話

今回はここ数年多くの引き合いをいただいている風況解析業務向けの標高データ「GISMAP Terrain」の紹介をします。

風況解析は、簡単に言うと、風の流れを解析するもので、ここでは風力発電用の風車をどこに建てるのが効率が良いか、風車の建設予定地でどれだけの発電量を得られるかをシミュレーションするものを指します。風況解析に使用するソフトウェアは国内ではMASCOT(株式会社水域ネットワーク)とRIAM-COMPACT(株式会社リアムコンパクト)が多いと思われます。その中でもMASCOT向けのGISMAP Terrainについては、MASCOTのユーザーズマニュアルに「詳細標高地図(Detailed Terrain Map)」として北海道地図の10mメッシュDEMが使用できると記載いただいていることもあり、多くの納入実績があります。

MASCOT向けGISMAP Terrainのデータ仕様は、

測地系日本測地系
ファイル単位2次メッシュ単位
格子数1,000 x 1,000
ファイル拡張子.hgf(Hokkaido-chizu Grid Format、テキストファイル)
標高値10cm単位(標高10mは100と表現)

となっており、MASCOTで直接読み込めるデータ形式となっています。


「GISMAP Terrain」を読み込み、MASCOT上で標高を表示


10mDEMは、国土地理院から「基盤地図情報数値標高モデル」として無償でダウンロードすることもできますが、測地系が世界測地系、データフォーマットが「JPGIS(GML)形式」のため、MASCOTで使用するには、測地系変換、フォーマット変換を行う必要があります。GISMAP Terrainに限らず、当社のGISMAPシリーズの特長の一つとして、お客様がお使いのソフトウェアですぐに読み込めるデータ形式で納品するということが挙げられます。

このようにMASCOTですぐに使える詳細標高地図としてご利用いただいているGISMAP Terrainですが、正直に言うと弱点もあります。

GISMAP Terrainは、国土地理院の1/25,000地形図の10m間隔の等高線をベクトルデータとして取得したものから作成しているため、標高差が10m未満の起伏、いわゆる微地形は表現されません。また、等高線間隔が広い、つまり平坦な土地はメッシュ標高値の計算アルゴリズム上、高さ精度が弱い傾向にあります。山の上に風力発電用風車を建てるための風況解析を行う場合は全く問題ありませんが、埋立地や海沿いの平地で風況解析を行う場合は、地形の状況を確認した上で、GISMAP Terrainと国土地理院の5mDEM(基盤地図情報数値標高モデル、以下「5mDEM」とします)を併用する提案を行うことがあります。

5mDEMは、等高線から取得したものではなく航空レーザ測量または写真測量で取得されたもので、10m未満の標高差も表現されるため、GISMAP Terrainの弱点を補うことができます。但し、国内全域のデータがあるわけではないので、提供範囲内であることが条件となります。その際、5mDEMが必要な範囲を全てカバーしているのであれば5mDEMから10mメッシュのMASCOT用hgfファイルを作成しますが、5mDEMが必要な範囲の一部しかない場合は、5mDEMとGISMAP Terrainを合成した10mメッシュMASCOT用hgfファイルを作成することも可能です(合成の境目はどうしても若干の不整合、段差が発生します)。また、5mDEMを10mメッシュにするのではなく、5mメッシュのままMASCOTで使いたいという場合には、MASCOTの「基本地図標高データ」フォーマットで作成することにより、5mメッシュのままで、かつ、複数2次メッシュを合成した1枚の標高データとして扱うことも可能です。但し、同じ面積で5mDEMは10mDEMの4倍のデータ量になるので、合成する範囲を広くしすぎると解析計算が回らない可能性があります。5mDEMは無料で入手、使用することができますが、提供フォーマットは、世界測地系3次メッシュ単位、JPGIS(XML)形式のため、MASCOTで利用するためには日本測地系2次メッシュ単位に変換する必要があります。

MASCOT用標高データに関連する話題として、粗度データについても紹介しておきます。

MASCOTには、解析に必要な粗度データが組み込まれています。「粗度データ」とは、流体(ここでは風、空気)の流れやすさのパラメータで、土地利用の情報を基に作成されています。しかしMASCOTに組み込まれている粗度データは昭和51年度の土地利用データから作成されたものであるため、海岸線が埋め立てにより変わっていたり、大規模な土地開発などで土地利用種別が現況と合っていないことにより、標高データと粗度データの整合が取れていないことがあります。風況解析では地上数十m上空の風を扱うため、粗度の違いによる影響は比較的小さいと思われますが、粗度データを現況に合わせる必要があるとお客様が判断した場合、当社では、

  1. MASCOTに組み込まれている粗度データをファイルに書き出したものと、粗度の修正箇所を地図上に示したものを修正原稿として貸与いただき、対話処理にて粗度を修正し、粗度データファイルを納品
  2. 新しい国土数値情報土地利用細分メッシュデータ(http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-L03-b.html)からMASCOT用粗度データを作成

の2種類の対応実績があります。2.は、MASCOTに組み込まれている粗度データと土地利用種別が異なるため、種別区分の再割り当てを行う必要があります。


「GISMAP Terrain」と「粗度データ」を読み込み、MASCOTで標高と地表面粗度を表示


参考 昭和51年度の土地利用種別 平成21年度以降(最新)の土地利用種別

今回は、風況解析業務向け標高データGISMAP Terrainについて紹介しました。GISMAP Terrainは、風況解析だけではなく、地形モデルを使用する各種解析、地形の陰影表現や立体表現、3Dプリンタ出力などの用途でご利用いただいてます。ご利用のソフトウェアに合わせたカスタマイズにも柔軟に対応しますので是非ご相談ください。


標高と粗度、解析領域の範囲、解析中心緯度経、計算する風向、平坦地形用粗度区分、メッシュの間隔と拡大率の計算条件の設定

ASTER GDEM バージョン3を試してみました

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