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CityGMLで都市を3Dモデル化!特徴や事例をご紹介



3D地理空間データを都市開発や災害対策に活かすため、近年様々なシステムやサービスが展開されています。
地理情報システム(GIS)もその一つですが、その中でデータの記述や管理をするためのフォーマットとして、GMLがあります。 都市のためのGMLをCityGMLと呼び、欧米を中心に3D地理空間の標準データフォーマットとして採用されつつあります。
今回はCityGMLについて、わかりづらい専門用語の意味や特徴、活用事例まで詳しく解説いたします。







1. CityGMLとは
今後さまざまな場面で活用が期待されるCityGMLについての基本をご説明します。

GMLとは?
GML(Generalized Markup Language)とは、地理空間情報を定義した統一フォーマットです。
地理空間情報のフォーマットが作成者や利用者ごとに異なっていた場合、やり取りをする度にフォーマットの変換作業が必要になり非常に不便です。
しかし、GMLを使用することによりデータ交換だけでなく、様々な地理空間データとの重ね合わせや加工が簡単に行えるようになります。

都市を3次元でモデル化
CityGMLは仮想の3D都市モデルを定義するためのデータフォーマットで、建築物をはじめ、道路や地形、橋梁、トンネル、土地利用、植生、水域などといった都市を構成するあらゆる要素を3Dモデル化することができます。

従来はコンピューターグラフィックスのデータ形式が用いられていましたが、CityGMLの登場によって複雑な地理情報の表現や地理座標系での表示が可能になりました。そのため、 大まかなエリアのデータを表示するだけだった都市構造に、建物の詳細な情報を表示できるようにもなりました。

CityGMLの技術を利用し、屋内のナビゲーションを想定したIndoorGMLもあります。
CityGMLで作成されたデータは、都市計画や防災計画、マーケティング計画などに利用されています。

BIM/CIMとの違い
BIMとはBuilding Information Modelingの略称です。「コンピューター上の3D建築物にコストや維持管理といった属性情報を追加してモデル化する」というものです。建築物を対象とした、アメリカが発祥の建築分野の概念です。
国内では国土交通省が2010年ごろに提唱したことにより普及が始まりました。

CIMとはConstruction Information Modelingの略称です。「BIMを土木分野にも拡大して活用する」というものになります。ガスや水道、電気や道路といったインフラ全般を対象にしている土木分野の概念です。 国内でBIMが普及し始めたことをきっかけに国土交通省によって2012年に提唱されました。
2018年には、国土交通省によりBIMとCIMの名称が統一されて「BIM/CIM」と呼ばれるようになりました。




2. CityGMLの特徴
CityGMLの特徴がどのように役立てられているのかご説明します。

3Dモデルのレベル設計
CityGMLはモデルの精度・表現にLOD(Level of Detail)という手法を用います。
LODとは、もともとは CGの分野で使われていた手法です。

CityGMLのLODは5段階の設定が用意されており、
LOD0:2次元の建物形状を定義
LOD1:2次元の建物形状に高さを付与した3次元の定義
LOD2:建物の屋根を定義
LOD3:建物の窓やドア等の外部の詳細を定義
LOD4:建物の内部を定義
として利用できます。

CityGMLの拡張機能
CityGMLは拡張機能として、ADE(Application Domain Extensions)があります。
CityGMLで定義されている建築物、道路、地形、橋梁、トンネル、土地利用、植生、水域以外をADEとして追加でき、ADEの仕組みを利用することで、CityGMLの定義を拡張可能になります。

CAD/BIMのデータ変換
CityGMLのLOD4は建物の内部構造まで定義している事から、情報量がBIMと同程度になりBIMソフトウェアへのデータの相互変換が考えられます。
データ変換をCAD/BIMのソフトウェア間で行う場合は、「IFC」のファイル形式を利用します。
IFC(Industry Foundation Classes)とはBIMでデータ変換する際に用いられる標準的なフォーマットです。




3. CityGMLのモジュール
OGC CityGML2.0では以下のモジュール及びXMLの名前空間が定義されています。

基本(CityGML Core)
名前空間:core
CityGMLの基本コンポーネントを定義します。

表面(Appearance)
名前空間:app
図形の表面を定義します。

橋梁(Bridge)
名前空間:brid
橋梁、橋梁部品、橋梁設備、および内部橋梁構造をLOD 1~4で定義します。

建物(Building)
名前空間:bldg
建物、建物の部品、建物の設備、および内部の建物の構造をLOD 0~4で定義します。

都市施設(CityFurniture)
名前空間:frn
街路灯、交通標識、広告柱、ベンチ、バス停などの静的な施設を定義します。
交通エリア、居住エリア、広場、または市街地にある施設を定義します。

グループ(CityObjectGroup)
名前空間:grp
グループ化を定義します。

汎用拡張(Generics)
名前空間:gen
汎用拡張部を定義し、追加の属性を定義します。

土地利用(LandUse)
名前空間:luse
土地利用を定義します。

地形(Relief)
名前空間:dem
地形を表現し、さまざまな精度や解像度を定義します。
地形は、通常のラスターまたはグリッド、TIN、ブレークラインを指定します。

交通(Transportation)
名前空間:tran
道路、線路、鉄道、広場など、都市内の交通機能を定義します。

トンネル(Tunnel)
名前空間:tun
トンネル、トンネルの部品、トンネル設備、および内部トンネル構造をLOD 1~4で定義します。

植生(Vegetation)
名前空間:veg
樹木や森林を定義します。

水域(WaterBody)
名前空間:wtr
川、運河、湖、および流域を定義します。

地表(TexturedSurface)
名前空間:tex
視覚的な色、光沢、透明度と地表を定義します。
このモジュールの利用は非推奨であり、将来のCityGMLでは削除される予定です。




4. CityGMLの活用事例
CityGMLはまちづくり、マーケティング、IoTと連動したエネルギー需要の見積もり、災害対策に活用されています。
また、スマートシティを実現するため都市再生を「見える化」する情報基盤である、「i-都市再生」が内閣府や国土交通省で進められています。




5. 弊社でお手伝いできること
弊社ではCityGMLを扱った業務や研究を手掛けております。
例えば下記のようなご要望がありましたら、お気軽にご相談ください。

  • CityGMLの都市モデルをCesiumなどの3D地図上に可視化したい
  • IoT機器を用いて取得している情報を都市モデルに重ねたい
  • 3D都市モデルを使ったシミュレーションをしたい
  • 都市モデルを含んだ鳥瞰図を作成したい
  • CityGMLのデータをUnityで使えるよう変換したい
こちらの記事 では、配布されているベルリンのCityGMLを使い、Unityで表示させた例をご紹介しています。

※この3Dモデルのライセンスは Berlin Partner für Wirtschaft und Technologie GmbH にあります。


また、Unityに表示させたCityGMLを、WebGLとして表示させることも可能です。




6. まとめ
CityGMLを利用することで、都市空間のあらゆる要素を3Dモデルとして作成・管理・共有を行うことができます。
これにより、災害管理や都市計画をより高度なレベルで効率的に行うことが可能です。
また、様々な技術を組み合わせてデータを応用し、シミュレーションの実行などを可能にします。

このように活躍の場が多く期待できるCityGMLは、世界的に利用されている共通のデータフォーマットであるため、現代の都市計画や防災計画には欠かせないものになるでしょう。

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