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多くの分野に展開する「デジタルツイン」の活用事例



近年、話題になる機会も多い「デジタルツイン(Digital Twin)」
文字通り「デジタルの双子」を意味し、現実にある物体を仮想空間にデジタル化して再現し、シミュレーションやモニタリングを行い、結果を現実世界にフィードバックする技術・手法です。
主に製造業で多く活用されていますが、最近ではそれ以外の事例も増えてきています。
今回はデジタルツインの様々な活用事例をご紹介します。

デジタルツインについてはこちら。







1. 製造業での活用事例
製造業においては、シミュレーションを目的にデジタルツインを導入される事例が多く見られます。

航空機のモニタリング
デジタルツインを活用して、航空機に搭載されているエンジンをモニタリングする事例があります。
フライトごとに蓄積されるデータを分析して問題が起こる前に特定し防ぐことで、遅延や欠航を減らす効果が見込めます。
デジタルツインによって、問題を未然に予測できるため、交換するべき部品をあらかじめ用意することも可能です。

建築分野での活用
施工する建物を仮想空間上にデジタルツインとして再現し、それを利用して設計を進めることで、施工期間の大幅な短縮を実現する例も見られます。
また、「MR」を組み合わせることで、仕上がりのイメージを視覚的に提供することもできます。
MR(Mixed Reality):日本語では「複合現実」と言います。仮想世界を現実世界に映し出すARとは異なり、現実世界の情報を仮想世界に映し出すことが可能です。




2. 仮想空間を活かした事例
製造業での商品開発やシミュレーション以外にも、デジタルツインは広く活用されています。

FIFAワールドカップ
2018年のFIFAワールドカップではデジタルツインが駆使され、選手の動きをリアルタイムに記録して分析・可視化するシステムが導入されました。 データ分析の担当者はタブレットでデータを確認し、監督に意見を送ったそうです。 このシステムがより進化すれば、選手の疲労度が可視化され、それに応じた選手交代など、采配に活かされるでしょう。

バーチャル・シンガポール
シンガポールでは、国全体を仮想空間に再現するプロジェクト「バーチャル・シンガポール」が2014年にスタートしています。建物だけでなくインフラや交通機関なども再現し、そこにリアルタイムに得た位置情報などを加えることで、都市そのもののデジタルツインを創り出そうとしています。
これによって、都市計画やインフラの整備の効率化が期待されています。

災害シミュレーション
デジタルツインの導入により、災害発生時の被災状況を事前に予測し、避難計画や事業継続計画の策定を効率的に行うこともできます。 また、デジタルツインで被災前の地形が構築されていれば、復旧計画もスムーズに行うことができるでしょう。

渋滞の緩和
デジタルツインの技術は、渋滞の緩和にも役立つと考えられています。
リアルタイムで渋滞している道路のデータを収集し、信号を切り替えるタイミングの制御や、高速道路の進入規制を行うなど、仮想空間でのシミュレーションで、渋滞の解消にも展開が考えられます。

医療現場での活用
ロボット技術やAIによる健康管理などの開発が進む医療現場では、デジタルツインの活用も期待されています。
人体の情報を3Dモデル化し、オーダーメイドで人工臓器や人工骨を3Dプリンターで作り出す研究が進められています。




3. 弊社の目指すデジタルツイン
ここまでご紹介したように、デジタルツインは製造業だけでなく、多岐にわたる分野での活用が期待されていますが、ここからは、弊社の目指すデジタルツインについてご紹介します。


IoT(モノのインターネット)を利用し収集するリアルタイムの情報が、5Gにより円滑にクラウドに収集され、ビッグデータ化した情報と仮想空間地図との融合により様々なシミュレーションができるソリューションが、弊社の目指すデジタルツインの姿です。



BIM/CIMとGISの融合
アメリカでは、建築業界にデジタルツインを取り入れようとする、BIM(Building Information Modeling)という考え方が生まれました。 国内でも、土木工事にも取り入れる考え方である、CIM(Construction Information Modeling/Management)が進められています。

これらの考えかたに、弊社が得意とするGIS(地理情報システム)とビジュアライゼーションを融合させることで、地形モデルや都市モデルを使ったデジタルツイン構築のサポートができると考えています。
ビジュアライゼーション(Visualization):情報を可視化し、よりわかりやすく効果的に表現すること。

BIM(Building Information Modeling):コンピューター上に作成した建物や施設の3Dモデルに、コストや仕上げ、管理情報などの属性を付与し、施工から維持・管理までのあらゆる工程でそれらの情報を活用するワークフローです。建築ビジネスをより効率的に行うことができると言われています。

CIM(Construction Information Modeling/Management):建築業界におけるBIMの考え方を、土木工事でも活用しようという考え方です。品質の確保や環境性能の向上、トータルコストの縮減が可能になると言われています。




4. 弊社でお手伝いできること
弊社は 日本全国の地図データベース を整備しており、さらに、施設の計測や3Dモデル化が可能ですので、施設を仮想空間に再現することができます。
また、お客様が所有するデータを GISデータに変換 する作業も承ります。例えば、お手持ちの住所データを地図上にアドレスマッチングし、仮想空間に再現することが可能です。


実際に、Unity上に3Dモデルを表示した例として、ドイツ・ベルリンの3D都市モデルをご紹介します。
公開 されているCityGMLと地形データを使用して再現しました。

ベルリン市 駅と衣料品店


ベルリン市中心部 南から


ベルリン市 ショッピングモール


※この3Dモデルのライセンスは Berlin Partner für Wirtschaft und Technologie GmbH にあります。



こちらは、マーターポート(Matterport) で計測したデータを元に再現した、弊社本社のエントランスです。


このように、実際に歩き回ることができる施設モデルの作成が可能です。



施設の展示物改修をお考えの方には、再現した施設を元に展示設計のご提案もさせていただきます。
1.施設のモデルデータ作成
マーターポートを使って現在の施設を計測します。
計測したデータを元に3Dモデルを作成し、施設モデルをUnity上に反映します。

2.打ち合わせ
Unity上やVRで施設モデルの中を歩いてご確認いただき、展示方法や設計をご提案いたします。
また、展示物デザインの検討やコンサルティングを行います。

3.見積もり
ヒアリングの結果をもとに、費用のお見積もりをいたします。

4.納品
展示物を制作・施工いたします。




5. まとめ
デジタルツインは、製造業以外にも、スポーツ分野や災害対策、都市計画など、仮想空間を利用して様々な分析やシミュレーションを行うことができ、さらなる発展が期待されています。

地図調製の業界では、従来の紙の地図、PCやスマートフォンで利用する地図から、自動運転で使われる地図や、AIが利用するための位置情報など、「人」が利用する地図から、「物」が利用する地図へとシフトしています。

地図の作りかたも、従来は足で稼ぐ現地調査が中心でしたが、スマートフォンの位置情報からの自動生成や、衛星写真からAIの機械学習による地図作成が進められており、3次元の点群データを利用した、仮想空間地図時代へ移行しています。

最先端のICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)や、これまで培ったノウハウ、斬新なアイデアを活かして、イノベーションの創出に挑戦し、未来を切り拓くべく、弊社は日々研究を続けています。

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